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これからやってくる暑い季節にふさわしい時計を選んでみた。

つまりそれは夏に使いたいサマーウォッチを検討し始める時期であることを意味する。プールで使うダイバーズウォッチ、ハッピーアワーの到来を告げる完璧な時計、友人や家族と過ごす週末のキャンプに最適な夜光を備えた時計など、夏は特定の体験に偏った時計選びができる季節なのである。

そこでこの季節ならではの次のサマーウォッチをHODINKEE編集部が選び、その理由をお伝えする! 暖かくなり、日も長くなってきた。できればビーチで過ごしたいものだ。

ガーミン MARQ Adventurer (Gen 2)
カナダでは長い冬が終わり、暖かい気候、長くなった日中、そして夏ならではの活動的な生活が戻ってくるのがとても楽しみだ。ガーミンのフラッグシップモデルであるMARQ Adventurer Gen 2を数ヵ月前から所有しているが、この機能満載でとても高級なスマートウォッチを暖かい季節のあいだに酷使するつもりだ。僕はfēnix 3が現行モデルだった頃からGarminのスマートウォッチを使っているが、MARQ Gen 2は、同ブランドが製造したなかで最も完全で、機能が充実した、カルティエスーパーコピー最高品質の例と言えるだろう。確かに値段は高いが、僕が所有するほかの高級時計と遜色ない体験ができるのだ。

グレード5のチタンケースと優れたストラップを備えたMARQ Gen 2は、驚くほど明るく高解像度のAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)スクリーンと、その表示可能なすべての機能を実現する理想的なプラットフォームを備えている。ランニング、ハイキング、サイクリング、スイミングなど、すべてのアクティビティを手元で楽しむことができ、通知機能、フィットネス、睡眠トラッキング、GPSマッピング、そのほかにもさまざまな機能が完全に統合されている。そして何より、MARQ Gen 2は、その驚くべき機能群と柔軟なインターフェース(ボタンまたはタッチスクリーンをお好みで)にもかかわらず、最大21日間使用できるバッテリーを備えている。仕事、旅行、健康、個人的な活動を把握しながら、夏を最大限に楽しむことができる、注目のスマートウォッチなのである。ガーミンのプラットフォームを長年愛用してきた僕にとって、MARQ Gen 2は、スマートウォッチの分野で最も完成度の高い製品だ。

– ジェームズ・ステイシー、リードエディター

スウォッチ クリアリー・ジェント 'ジェリーフィッシュ'
サマーウォッチを決めるには、まず、どんな夏を過ごしたいかを自問自答しなければならない。昨年の夏はゴールドやツートンカラーのカルティエ サントスで、パンデミック後初の本格的な猛暑(「パンデミック後」というほどのものでもないだろうが)となったため、エネルギーに満ち溢れていたが、今年はもう少しゆったりとしたものにしたい気がする。もう少しカジュアルに。もう少しスウォッチで。

そこで、私が愛用しているスウォッチのひとつ、1983年製の初代ジェリーフィッシュを着用しようと考えている。ジェリーフィッシュの透明なケースは、発売当時、スウォッチ(そしてスイス時計製造界全体の代理人として)にとってのステートメントだった。 「私たちは今、クォーツ時計を作っているんだ。ロレックスやパテック フィリップが試みたように、大きく大胆なケースに電池を隠すのではなく、スウォッチは正反対の方法で電池を見せ、すべての人に見てもらうようにした」。それはファッショナブルであり、やがてあらゆるところで見られるようになった。

唯一の問題は、クリアケースが嫌な黄色に変色していない状態のオリジナルのジェリーフィッシュを見つけるのが難しいということだ(こんな感じになってしまっている)。幸運なことに、昨年スウォッチはオリジナルのジェリーフィッシュをクリアリー・ジェントとして再リリース。しかも、オリジナルの34mmサイズで。なんとたったの1万2320円(税込)だ。手頃な価格のプラスチック(スウォッチによれば、バイオ由来のプラスチック)を身につけること以上に、のんびりした夏を過ごす良い方法はないだろう。ムーンスウォッチはそのまま持っておけばいいのだ。

– アンソニー・トレイナ、エディター

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア ダイバー
他のメンバーと違って、僕は西海岸(別名ベストコースト)に住んでいる唯一のメンバーだ。具体的には、ロサンゼルスに住んでいるのだがここにはふたつの季節しかない。というのも、僕の住んでいるところでは、夏の時計を選ぶのは本当に大変だ。なぜっていろいろと考えなければならないから。僕は暑いと汗っかきなので、手首のサイズが一日中大きく変化する。そのため、ブレスレットをその場で調整できるシステムは必須機能で、夏はプールで過ごすことが多いため水遊びができる時計も重要になる。当初は、Watches & Wonders 2023で発表されたお気に入りのモデル、METAS認証を受けた新しいチューダー ブラックベイを選んで安全策を取ろうと考えていたのだけど、この夏は(もちろん、仮定の話ではあるが)、代わりにオーデマ ピゲのロイヤル オーク オフショア ダイバーを選んでみようかなと思っている。

ロイヤル オーク オフショアは、僕の夏にぴったりの時計だ。ブレスレットではなく、非常に快適なラバーストラップが付属しており、僕にとってはそれがさらに良い。プールでの楽しいパーティにも対応できる。夏の "タフ"な扱いに対応できるだけでなく、特にこのピンクゴールドとチタンの限定モデルならクールに使えると思う。過酷な使用にも耐えうる頑丈な時計でありながら、スイスの最高級時計としての仕上げが施されているのだ(ただし、そのような使い方はおすすめはしない)。僕にとって夏とは、涼しく、楽しく過ごすことであり、もし選べるならば、オフショア ダイバーが最適な1本だと思う。残念ながら、僕にはその選択肢がないから、この夏はチューダーのブラックベイを身につけている僕を見かけることになると思う。慰めにしては最高の時計だ。

– ブランドン・メナンシオ、エディター

ドクサ サブ 300 プロフェッショナル
私のワードローブは、いわゆる"夏らしい"ものではない。近年は、夏でも黒一色だったのが、ブルーやアースカラーを中心にしたコーディネートに激変している。そんななか、夏らしい時計が欲しくなり、単調なワードローブから抜け出せるような時計、それがドクサのサブ 300 プロフェッショナルだ。

鮮やかなオレンジ色で、レトロで作り込み過ぎで、すごいのだ。夏にぴったりの時計かもしれない。私の夏を想像すると、プール(所有していない)でのんびりしたり、カリブ海への旅行でダイビングをしたり(計画していない)、ビーチにあるレンタルショップ(予約していない)で散歩をしたりすることが思い浮かぶ。どのような場合でも、私の腕にはサブ 300 プロフェッショナルがある。この時計が、そのような夢の実現に少しでも近づけてくれるのだろうか? わからないが、この夏、ようやく手に入れ、試してみることにしよう。

– マーク・カウズラリッチ、エディター

チューダー ブラックベイ GMT オパリンダイヤル
私は以前からチューダーのブラックベイ ラインのファンなのだが、最近発表されたこのブラックベイ GMTのオフホワイトダイヤルバージョンは、理想的なサマーウォッチになるかもしれない。私たちがブラックベイ GMTに初めて出会ったのは2018年のこと。ジェームズはこのモデルとともにサンフランシスコを颯爽と歩いていた(今でも私のお気に入りのWeek On The Wristビデオのひとつだ)。

この時計は当時もハンサムで実用的だったが、それは変わらない。加わったのはひねりだ。新しいブラックベイ GMTは、シンプルなオフホワイトの文字盤が特徴で、正直なところ慣れるまでに少し時間がかかったが、一度カチッと音がすればそれはぴったりはまるのだ。GMT針が文字盤にエレガントな彩りを添え、象徴的なペプシベゼルがそれを縁取る。そのすべてが、41mmという素晴らしいサイズに収まっているのである。快適なNATOストラップを装着すれば、2023年の夏を彩る時計となることだろう。

シャネルの時計が魅力的な理由

シャネルの時計は、ガブリエル“ココ”シャネルのデザイン核となる理念を再パッケージ化し、それを転用している。

シャネルは世界で最も認知されているファッションブランドのひとつであるだけでなく、グローバルな帝国でもある。ナイキやコカ・コーラのように、ブランド名やロゴが大衆的なスケールで識別できるのは、高級感や洗練された雰囲気、そして指をくわえて見ていられないような“フランスらしさ”を象徴するブランドであることに由来している。

メゾンのレガシーと、女性ファッションにおける極めて重要な役割は、ガブリエル“ココ”シャネルと彼女がブランドのために創り出した重要なビジュアル的柱から始まる。リトルブラックドレス、キルティングバッグ、ツイードスーツ、ツートンカラーの靴、カメリア、パール、そしてシャネル No.5 パルファムだ。これらのシャネルのトレードマークはすべて、私たちの祖母や母、さらには若い世代の心にも刻まれた、一種のファッショナブルなソースコードとして機能している(そして今も)。

ドレス&ハンドバッグ&コード ココ ウォッチ&イヤリング/シャネル、ストッキング/スタイリスト私物

10代のころに欲しかったものとして鮮明に覚えているものがふたつある。クラシックなシャネル 2.55 フラップバッグと、シャネルスーパーコピー時計J12の時計だ。このアイテムは分子レベルで憧れた。非常に高価なふたつのものを所有することで、私は華やかでクールになり、シャネルのアンバサダーであるキーラ・ナイトレイ(Keira Knightly)に1歩近づけるような気がしたのだ。しかし15歳のときに、祖母が持っていたハンドバッグや口紅、香水も売っているブランドの時計を母にねだって、毎朝学校の送迎前に、シャネルブランドのアイテムを日常的につけていたのはどうしてだったのだろう?

10代のとき、シャネルは私の世界の隅々にまで浸透し、存在していた。欠けたルージュノワールのマニキュア、ケイト・モス(Kate Moss)がココ・マドモアゼルの広告でポーズをとっている写真、そして『ジ・オーシー』のエピソードでミーシャ・バートン(Mischa Barton)がシャネルの大きいバッグを身につけているのを見て育ったのだ。このようにブランドが(母や祖母と同様)私の人生の至る所に遍在しているのは、シャネルのクリエイティブディレクターであるカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)による影響が大きい。1920年代、女性の服装を変えたココ・シャネルが現代の議会で法案を通過させるような革命的な政治行為をするように、ラガーフェルドもまた先駆者だった。

ラガーフェルドはココの信条を現代風にアレンジして、1980年代から1990年代の好みに合うようにしたファッションの先導者だ(シャネルのプレタポルテとオートクチュールコレクションで彼のクリエイティビティが最も高まっていた時期といっても過言ではない)。彼は急速に存在感を失いつつあった由緒あるファッションハウスを刷新して、超モダンでスーパーモデルに満ちた夢の世界へと変えた。彼が参考にした歴史的時代や文化的現象に関係なく、どんな時代、どんな文化の現象があってもすべてがシンクロしているのは、前述したデザインコードへのこだわりがあったからだ。ラガーフェルドはココのモチーフを自分の想像力と融合させ、シャネルの作品全体にそれを取り入れた。

1987年、ブランドの最も目立つふたつのシンボルが、プルミエールと呼ばれる時計に生まれ変わった。デザインを考案・実行したのは、1965年から2007年までシャネルのフレグランスや美容製品、時計、そしてジュエリーのアーティスティック・ディレクターを務めたジャック・エリュ(Jacques Hélleu)である。業界外の人にはあまり知られていない名前だが、エリュはラガーフェルドと二人三脚で、今日私たちが認識しているブランドイメージの最もインパクトのある側面をいくつか創り出した人物だ。アイコニックなフレグランス、No.5のブランドを再構築した彼は、カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)、キャロル・ブーケ(Carole Bouquet)、ヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)、ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)といった女優やモデルを起用して、ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)、リドリー・スコット(Ridley Scott)、リュック・ベッソン(Luc Besson)、バズ・ラーマン(Baz Luhrmann)などが撮影した広告キャンペーンやコマーシャルに出演させた。

Ines in Chanel
1987年、プルミエールをつけたラガーフェルドのミューズ、イネス・ド・ラ・フレサンジュ(Inès de la Fressange)。Image: courtesy of Chanel

シャネルが1921年に生み出した、そのモダニズムなデザインのNo.5のボトルはいまもほとんど変わっていない。これは1959年にMoMA(The Museum of Modern Art)の常設展示に置かれ、1985年にはアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の手によってシルクスクリーンシリーズも描かれた。ダイヤモンドのようにカットされたストッパーは、パリのヴァンドーム広場の幾何学模様からインスピレーションを受けており、プルミエールウォッチのケースデザインの元ともなった。プルミエールのブレスレットは、アイコンのひとつであるキルティングバッグのレザーとチェーンのストラップが交錯する様子を模してデザインしている。シャネルはすべて(そして今もまだ)ココの核となる理念を再パッケージ化し、それを転用(モチーフを現代的なコンテクストに落とし込んで再構成して、そのなかから選りすぐった方法だ)したものである。

当時、ランウェイで披露していたジュエリーやアクセサリーと同様、この時計もラガーフェルドが生み出した80年式(および90年代初期)シャネルのマキシマリズムの美学の一部だった。過度で派手なファッションの10年間だった。ラガーフェルドはゴールドのチェーンを腰に巻いたり、ネックレスとして使ったり、パールのロングネックレスを混ぜたり、はたまたベルトや“ダブルC”ゴールドのフープイヤリングやカフスに至るまで、ゴールドのコスチュームジュエリーを多彩にコレクションに取り入れた。これらのアクセサリーはすべて、ウエストを絞ったブラックタイトドレス、巨大でインパクトのあるショルダーを持つキルティングレザージャケット、キャンディーカラーのツイードのミニスカートスーツ、ブルーデニムのジーンズを装飾して、劇的に表現するために使用していた。90年代、シャネルのショーでジーンズがランウェイに登場したのはとても大きな出来事だった!

Lind Evangelista in Chanel jewelry
1995年頃のハーパーズバザーに掲載されたリンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)。Image: courtesy of Chanel

プルミエールは、1987年にカール・ラガーフェルドが発表したシャネルをエリュが解釈した、今も昔もクラシックなシャネルだ。宝石のないモダンなレディスウォッチは、既存の“時計ブランド”製品の派生品でもメンズウォッチのスケールダウンアイテムでもなく、独自のアクセサリーとして考案されている。ブランドのなかからデザインのヒントを得て、スタイルを第一の原動力としている。確かに、この時計はクォーツかもしれないが、しかしここまで私の記事を読んでくれた人はそこは論点でないことを理解してくれているはずだ。

2022年にプルミエールは、シャネル ウォッチメイキング クリエイション スタジオの現ディレクターであるアルノー・シャスタン(Arnaud Chastaingt)氏によって外観のマイナーチェンジが施され、ランウェイが支配していた時代のブラックとゴールドのフォルムを持つ完璧な復刻版として登場した。ゴールドの八角形ケースに納められたブラックラッカーの文字盤には、数字やインデックス、秒針や日付表示はなく、12時位置に小さな白いシャネルのロゴと6時位置にスイスのロゴがあるだけで、シャネルNo.5のストッパーのようにシンプルでクリーンなラインである。

Chanel premiere
シャツ&パンツ&ネックレス&プルミエール/シャネル

Chanel Premiere and robot
プルミエール ロボット(左)とプルミエール メタル チェーン(右)。

1990年初頭までに、ラガーフェルドはシャネルをファッションの頂点に押し上げ、その結果シャネルは世界で最も魅力的なブランドのひとつとなった。シャネルの91年のFWコレクションで、パール、チェーン、ベルト、ロゴといったクラシカルなシャネルのイディオムが特大化し、ブランドに新たな時代が到来した。ラガーフェルドはヒップホップやダッパー・ダンのような黒人デザイナーからヒントを得て、それが主流のラグジュアリーに辿り着いたり認められるずっと前からブラックカルチャーの要素を取り入れていた。

それならば、メゾンが極めて大胆な変化を遂げてココのデザインコードを完璧に再現した時代に、エリュがJ12のデザインしたのは理にかなっている。当時としてはより大胆で男性的なデザインコードを持つ機械式時計で、オールブラックのセラミック製、後にオールホワイトセラミックも登場した。